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12月は雪崩防災週間!本格的な雪シーズンに備えよう!
この記事の目次
はじめに
日本の国土は半数以上が豪雪地帯、豪雪地帯の約半分は特別豪雪地帯と、世界でも有数の豪雪国として知られており、毎年12月1日から7日は雪崩防災週間として対策や注意を呼び掛けています。
1991年から2020年の間に雪崩に遭遇したのは500人、死傷者は353人と、雪崩に巻き込まれた際の被害の大きさが伺えます。
今回は、本格的な雪崩シーズンに備えるため、雪崩に関する基礎的な知識をご紹介します。
雪崩とは
雪崩は、滑り面の位置、雪崩発生の形、雪質などによって6つに分けられます。
ここでは、大きく分類される「表層雪崩」と「全層雪崩」のそれぞれの特徴や天候や季節によって発生しやすい条件をご紹介します。
表層雪崩
滑り面が積雪内部にあるものを表層雪崩と言います。新雪雪崩とも呼ばれます。
すでに積もっている古い雪の上に、新しい雪が積もり滑り落ちた状態です。
雪崩の速度は時速100~200㎞と速く、破壊力も大きいため被害範囲が拡大しやすい傾向にあります。
表層雪崩が発生しやすい条件
表層雪崩が発生しやすい条件は以下の5つです。
1. 急傾斜の斜面で、雪庇や吹き溜まりができている
2. 多量の積雪後に、短期間で多量の降雪
3. 厳冬期
4. 吹雪や強風を伴う0℃以下の気温が続く
5. 35~45度の斜面、高低差10m以上で、高さのある樹木が少ない場所
表層雪崩は1~2月の厳冬期に多く、風が強い日や急激な積雪があった日(特に1m程度の積雪の上に30cm程度の降雪)に起こりやすいと言われています。
一点から始まる点発生雪崩や、面で一斉に発生する面発生雪崩などがあり、被害が拡大しやすい雪崩です。
全層雪崩
滑り面が地面にあるものを全層雪崩と言います。
地面の上にある雪が全部滑り落ちてくる状態です。
雪崩の速度は時速40~80㎞、面で崩れるため、広い範囲で一斉に発生します。
全層雪崩が発生しやすい条件
全層雪崩が発生しやすい条件は以下の4つです。
1. 過去に雪崩が発生した場所
2. 春先・降雨後・フェーン現象等で気温が上昇
3. 斜面の積雪に亀裂
4. 35~45度の斜面、高低差10m以上で、樹木のない地肌が露出している場所
全層雪崩は春先の温かくなってきた時期や雨の後に起こりやすいと言われています。
雪の表面に亀裂ができるのが大きな特徴です。
斜面の雪面にしわ、亀裂、こぶのようなものがあり、徐々に大きくなっている場合は雪崩が起こる直前の兆候ですので、すぐに避難しましょう。
雪崩の前兆
雪庇(せっぴ)
山の尾根から雪が張り出している現象です。稜線の風下にできます。
張り出した部分が斜面に落ちる衝撃で、雪崩が発生する可能性があります。
巻きだれ
雪崩予防柵から張り出している雪のことを言います。
雪庇同様、張り出した部分が斜面に落ちる衝撃で、雪崩を発生させる可能性があるため、前兆の一つとされています。
斜面が平になっている
積雪が多く、元の地形が把握できないほど平らに積もっている場合は、表層雪崩のリスクが高くなります。
特に注意が必要なのは、家屋等の裏にある山、斜面です。
スノーボール
斜面をころころ転がっている雪玉のことを言います。雪庇や巻きだれの一部が落ちてきたもので、雪崩の前兆としてよく知られているものになります。
クラック
斜面にある引っかき傷のような割れ目をクラックと言います。雪が緩んで少しずつズレていくことでできるものです。
このクラックが大きくなると全層雪崩が起こるリスクが高くなります。
雪しわ
斜面にできるふやけた指のしわのような模様を雪しわと言います。
クラック同様、全層雪崩の前兆とされています。
雪崩に巻き込まれたら?
雪崩に巻き込まれた場合はどう対応すべきなのでしょうか?
仲間が巻き込まれた(自分の近くで巻き込まれを発見した)場合と、自分が巻き込まれた場合の対処法をご紹介せいます。
仲間が巻き込まれた場合
1. 流されている人を目視し続ける
2. 雪崩に巻き込まれた地点(遭難点)と姿が見えなくなった地点(消失点)を覚えておく
3. 雪崩がおさまり周囲の安全が確保できたら見張りを立ててから遭難点と消失点にポールや枝などの目印を立てる
4. 雪崩ビーコンなどで捜索する
見つかったら掘り起こし、状態に応じて救命措置を行います。
自分の命を守るため、そして救助してくれる人の安全確保のためにも、雪山や雪崩のリスクがある場所に行くときは、雪崩ビーコン(アバランチビーコン、雪崩トランシーバー)を持っていきましょう。
自分がまきこまれた場合
1. 横向きに逃げる(雪崩の端に逃げる)
2. 仲間がいれば雪崩の発生を知らせる
3. 重たい荷物を外す
4. 雪崩に巻き込まれたら、雪の中で上に向かって泳ぐ
5. 雪が止まりそうになったら手で口・鼻周辺に空間を作る
6. 雪の中から声が聞こえたら大声で知らせる
自分が巻き込まれた場合は、とにかく雪に埋もれないように上に向かって浮上することが重要です。可能であれば背泳ぎのような体勢を取りましょう。
また、雪が止まって30分もすれば雪が固まって掘ったりできなくなるので、雪が止まりそうになったら必ず口・鼻周辺に空間を作りましょう。表層部に近ければ自力で脱出できるので、一度動けるか試してみます。動けないならそれ以上動かず体力と酸素を温存します。
むやみに叫ぶと無駄に酸素を使ってしまうので、落ち着いて呼吸をして救助を待ちましょう。
まとめ
今回は、雪崩の知識についてご紹介しました。
雪崩による被害は毎年確認されており、珍しいものでもありません。
特に、豪雪地帯以外に住んでいる人は、雪崩に対する対策・知識も万全とは言えないでしょう。
どういう状態が危険かを知ることは、災害対策としてはとても重要です。
雪崩の危険がありそうな場所には近寄らないこと、前兆を発見した場合は最寄の役場や警察・消防に連絡しましょう。
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