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消火器は300歳!消火器の歴史を学ぼう!
はじめに
現在では広く普及している消火器は、1723年イギリスで発明されたことをご存じでしょうか?
1723年頃の日本では、江戸幕府が「いろは47組」を再編成(1720年)をしたり、享保の大火(妙知焼け)(1724年)などが起こった年です。
まだまだ破壊消防が主流だった時代に消火器が誕生していたとは少し驚きますよね。
今回は、そんな消火器の歴史を詳しくご紹介していきます。
消火器の誕生と歴史
1723年 | アンブローズ・ゴッドフリー(独出身・英)が自動消火装置の特許を取得 |
19世紀初頭 | ジョージ・ウィリアム・マンバイ(英)が炭酸カリウムを用いた持ち運べる噴射式の消火器を考案 国家による消防団設立の構想をするなど、火災予防分野で有名 |
1872年 | 西京博覧会で米から日本に「火災消防器械」として消火器が伝わる ・当時30~50ドル、現在で6万~10万円程度 |
1866年 | フランソワ・カリエール(仏)が炭酸水素ナトリウム水溶液を使用した消火器を開発、特許取得 |
1881年 | アルモン・M・グレンジャー(米)が炭酸ガスを使った消火器を開発、特許を取得 ・炭酸ガスを使った初めての消火器 英・リードキャンベル社から四塩化炭素を用いた自動車火災用消火器が販売される |
1895年 | 丸山商会(現丸山製作所)で硫曹式消火器「丸山式自動消火器」が作られる |
1905年 | アレクサンドル・ローラン(露)がガソリンの鎮火を目的とした泡消火器開発 |
1918年 | 国産の泡消火器が開発される。アメリカの消火器メーカー「フォーマイト商会」をもじって「泡沫消火器」と命名 |
1928年 | DuGas社から初となるBC対応消火器が発売。現在の消火器の外観になる |
1950年代~ | ABC粉末消火器(ドライケミカル)が開発される 消火器の国家検定制度が採用される |
1965年ごろ | ABC粉末消火器が普及する |
1723年、ドイツ出身でイギリスの製造業を営んでいたアンブローズ・ゴッドフリーが、世界初の消火器を開発しました。
19世紀初頭には、船舶火災の際に持ち運んで消火活動ができるようにと、イギリス海軍の軍人だったジョージ・ウィリアム・マンバイが、圧縮空気で炭酸カリウムを噴射する消火器を考案。
その後、アメリカから日本に伝来し、国産消火器として製造販売されたのは、消火器が誕生してから実に162年後のことです。
1965年ごろからは、現在一般的に普及しているABC粉末消火器が販売されるようになり、広く世の中に普及していくこととなりました。
世界初の消火器は破裂型
アンブローズ・ゴッドフリーが作った初の消火器は、スズを主成分とする低融点合金の入れ物に消火剤を入れたものでした。
消火方法は、導火線に火をつけて容器を爆発させて消火剤を撒く方式というもので、消火能力はそれほど高くはなかったと言われています。
それでも、容器をガラスにしたものを投げ入れる方式など、いくつか似たような消火器は作られたようですが、飛び散る破片で怪我をするリスクもあり、それほど普及はしなかったそうです。
日本初の消火器は米60㎏と同じ値段だった!
丸山商会(現丸山製作所)で製造販売された消火器は、当時のレートで6円ほどだったそうです。
当時、米10㎏が1円ほどで買えたということですので、消火器1本で60㎏の米と同じ価値だったことになりますね。
高価なこともあり、今ほど普及するには至らなかったようです。
毒性の強い薬剤が使われていた時代も!
イギリスのリードキャンベル社から販売された自動車火災用消火器に使われていた四塩化炭素には、毒性があることで知られています。
四塩化炭素を吸引すると中枢神経や内臓器官に影響を及ぼすこと、長時間吸引すると昏睡、最悪の場合死亡することも知られていましたが、扱いやすさと消火能力の高さから、長い間自動車火災用消火器に使用されていました。
1970年頃には製造が禁止され、現在は目にする機会はほとんどありませんが、もし見つかったとしても日本では消火器として引き取ってもらうことはできず、産業廃棄物扱いになります。
もし蔵や倉庫の奥底に眠っていたとしたら、早急に廃棄手続きを取るようにしましょうね。
消火器の円形マークが採用されたのは1962年から
今ではお馴染みの適応火災の円形マークは、消火器誕生から239年後、1962年1月1日から、消火器に表示されるようになりました。
とはいえ、当初は適応火災ごとに色分けした円(白、黄色、青)のみでした。
1970年から、現在では旧規格と呼ばれる、円形マークの中に「普通火災」「油火災」「電気火災」の文字が追加され、2011年1月1日からは、消火器の破裂事故などで法改正が進み、すべての人にわかりやすくするため適応火災の円形マークにイラスト追加されました。
現在、旧規格消火器は型式が失効しているため、設置していても消火器として認められませんので、もし手元に旧規格消火器がある場合は速やかに交換しましょう。
まとめ
今回は、消火器の歴史についてご紹介しました。
消火器が誕生し、より使いやすく改良が進められた背景には、火災から人命や家(財産)をより安全に守るという命題が存在します。
火災は一度大きくなれば、人間には太刀打ちできません。だからこそ、初期消火が重要になってくるわけですね。
自分の身の回りの消火器が適切か、また、取扱いはできるか、今一度確認してみてくださいね。
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