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防災気象情報の見直し案が2026年から運用開始へ!現行との違いは?

防災気象情報の見直し案が2026年から運用開始へ!現行との違いは?

はじめに

2019年5月29日から運用されている防災気象情報は、災害発生の危険性を認識できる一つの指標として社会でも少しずつ浸透し始めていますが、まだまだ十分ではありません。
地球温暖化などによる大雨、線状降水帯の発生などの災害が増加するおそれが指摘されている中、国民のみならず外国人旅行者にもわかりやすい情報提供が必須となっています。
そんな中、2024年6月に防災気象情報の見直し案が発表され話題となりました。
今後どのような取り扱いになるのか詳しく解説していきます。

防災気象情報見直し案と一覧

「避難勧告」は廃止され「避難指示」のみとなったり、「災害発生情報」から「緊急安全確保」に変更されたりと、アップデートを加えつつ運用されてきた防災気象情報ですが、今回の見直し案は少し大きな変更となりそうです。

気象情報見直しの背景

気象情報見直しの背景には、自然災害発生時に国民が適切な避難行動を迅速に取れるようにしたいという思いがあります。
現在、防災気象情報は気象庁や都道府県が発表し、それに基づいて各自治体が避難指示の発令をするようになっています。
しかし、災害があれば新たに作るということが繰り返されたため、防災気象情報は40種類以上に上り、そのすべてを正確に理解するのは困難で災害の切迫度が伝わりづらいという問題がありました。
例えば、「土砂災害警戒情報」と「氾濫危険情報」は、どちらもレベル4相当ですが、直感的にわかるかといわれると少しイメージしづらいでしょう。
そこで、今回は避難の必要がある「洪水」「大雨浸水」「土砂災害」「高潮」に関して見直しが行われることになりました。

運用見直し案

洪水に関する情報
「洪水危険度」
大雨浸水に関する情報
「大雨危険度」
土砂災害に関する情報
「土砂災害危険度」
高潮に関する情報
「高潮危険度」
氾濫による社会的影響大の河川(洪水予報河川、水位周知河川)の外水氾濫 内水氾濫および左記以外の河川の外水氾濫
発表単位 河川ごと 基本的に市町村ごと 沿岸ごと又は市町村ごと
警戒レベル相当情報 5相当 レベル5
氾濫特別警報
レベル5
大雨特別警報
レベル5
土砂災害特別警報
レベル5
高潮特別警報
4相当 レベル4
氾濫危険警報
レベル4
大雨危険警報
レベル4
土砂災害危険警報
レベル4
高潮危険警報
3相当 レベル3
氾濫警報
レベル3
大雨警報
レベル3
土砂災害警報
レベル3
高潮警報
2 レベル2
氾濫注意報
レベル2
大雨注意報
レベル2
土砂災害注意報
レベル2
高潮注意報

運用見直し案は、全体的にシンプルでわかりやすい情報体形や名称にするという部分に重点が置かれている印象です。
理想は、警報の名称やレベルを覚えていなくても危険度がわかるようなもの。
もっとわかりやすく、統一した名称を使用することで、より迅速な対応と危険の切迫度を認識してもらいたいというのが、この見直し案の根本にあります。

見直しが検討された「洪水」「大雨浸水」「土砂災害」「高潮」の4つの災害について、それぞれ「氾濫」「大雨」「土砂災害」「高潮」というキーワードに、警報などの情報と警戒レベルを併記することとしています。
さらに、現行の警報(レベル3相当)と特別警報(レベル5相当)の間に「危険警報」を新設。
これにより、警戒レベル2から順に注意報、警報、危険警報、特別警報となり、現行の土砂災害警戒情報や洪水警報は廃止となります。

避難情報との関係はそのまま

防災気象情報は変更されますが、警戒レベルと避難情報の関係は現行のままとなります。

警戒レベル 発令される状況 取るべき行動
レベル5
緊急安全確保
災害が発生または切迫している可能性が高い状況。 命の危険が迫っているため直ちに身の安全を確保する。
避難場所への移動が困難である場合は、垂直避難(上階へ上がる)や住居内の安全な場所(崖や斜面から離れた部屋)に移動する。
レベル4
避難指示
災害が発生する危険が高まっている状況。 対象地域の住人は速やかに避難する。
レベル3
高齢者等避難
高齢者等は危険な場所から避難する必要がある状況。 高齢者に限らず、乳幼児がいる人や妊婦、障害があり避難に時間が掛かりそうな人もこの段階で避難を開始し、それ以外の人は避難準備をする。
レベル2 避難場所、ルートなどの確認が必要な状況。 ハザードマップ等で災害が想定される区域、避難先、避難経路、持ち物などを確認する。

レベル4の避難指示までに対象地域住人は全員避難が鉄則です。
乳幼児がいるご家庭、妊婦、怪我や障害で避難に時間が掛かりそうな方は、レベル3高齢者等避難の段階で避難を開始できるよう準備しておきましょう。
警戒レベル2の注意報が出た時点で、災害発生の可能性を考慮し、避難先までの安全な避難経路、持ち物の確認、家族等の安否確認方法のおさらいなどをしておくと避難がスムーズです。

まとめ

防災気象情報がよりわかりやすくなると同時に、私たちも警報や危険警報、特別警報発令時の行動を今一度見直す必要があるでしょう。
2013年に大雨特別警報が新設されましたが、2018年の西日本豪雨(正式名称:平成30年7月豪雨)では、特別警報発令後も多くの住人が避難せず被災しています。
災害発生直後は、災害に対する意識が向上しますが、大きな災害がなく年月が経過することで、警報等に対する感受性は低くなります。
近年は気象予報の精度も上がっていますので、災害級の荒天が予想されるときは早めに避難準備を整えましょう。

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