消防・防災情報

ARTICLE

消防・防災情報

南海トラフ地震は死者32万人・損失220兆円!救助が遅れるおそれも

南海トラフ地震は死者32万人・損失220兆円!救助が遅れるおそれも

はじめに

南海トラフ巨大地震は、東海・東南海・南海地震が連動して起こることで、甚大な被害をもたらすことを想定しています。
最初の揺れを皮切りに、連鎖的に岩盤が崩壊していくことが予想され、それに伴い長時間揺れが続く可能性も。
特に、宮崎県沖のプレートの境界は地上に近く、東日本大震災よりも揺れる可能性も示唆されているのです。

今回は、南海トラフ地震の想定被害について解説していきます。

南海トラフ巨大地震の想定被害は?

南海トラフ巨大地震が発生した場合、どれくらいの規模の被害が想定されているのでしょうか?

想定被害について解説していきます。

死者32万人以上、経済損失は220兆円にのぼる

南海トラフ巨大地震の想定被害は、死者32万人以上、負傷者62万人以上、建物の全壊等被害が238万棟、経済損失は220兆円以上とされています。

これは、東日本大震災の被害額16兆円の10倍以上の被害です。
ここからも、南海トラフ巨大地震の脅威がわかるでしょう。

死者のうち、半数以上の22万4,000人が津波の犠牲になると試算されています。
しかし、早期避難や地震発生後の速やかな避難行動により、約8割の被害軽減ができるともいわれています。
津波の危険からいかに早く非難するかが、被害を減らす大きなポイントとなっているのです。

津波高は最大30m以上、最短2分で到達

南海トラフにおける津波高は、高知県の一部地域で最大30m以上、その他の地域でも太平洋沿岸は10m~30mと予想されています。
さらに、1mの津波の最短到達時間は和歌山県や静岡県では2~3分程度と余裕がありません。
自治体でも防波堤の強化等を行い、少しでも津波到達までの時間を稼ぐ対策は取られていますが、1mの津波の死亡率は計算上100%です。
たった1mと侮ることなく速やかに避難しましょう。

警戒すべきは「半割れ」の被害

広く後悔されている南海トラフの被害想定は、東海・東南海・南海地震が同時に起こった場合(全割れ)のものが多いです。

もう一つ、警戒したい被害は最初の地震発生後、2度目の地震が発生する「半割れ」が起こった場合です。
ここでは、半割れが起こった場合の被害について解説していきます。

経済損失

半割れが起こると製品の供給網が経たれるため、経済活動に広く影響が出ると分析されています。
これは、東日本大震災でも起こったことですが、それよりも深刻な被害が出る可能性があるのです。

東日本大震災では、損失が大きかった企業は東北地方の太平洋側を中心に、おもに大都市で見られたのですが、南海トラフ巨大地震では、北海道から沖縄まで、都市の大小関係なく損失が出ると予想されています。

救助隊の到着が遅れるおそれがある

災害発生時には、各都道府県で登録されている緊急消防援助隊が派遣されますが、南海トラフ巨大地震が発生した場合、地元での活動を優先せざるを得なかったり、2回目の地震に備えるため、派遣を見送ることになったりするおそれがあります。

広範囲での被災が予想されるため、72時間以内に被災地に到着できる部隊数が半数以下になる可能性もあります。

さらに、火災が発生した際、水道管の破損で消火活動ができなくなる可能性も考えなくてはなりません。
普段から火災に対する意識を持つことはもちろん、災害時でも火災が起こりにくい環境構築、初期消火訓練の実施、消防設備の適正な設置なども見直しておくべきでしょう。

地震発生から1週間は他県に向かわない派遣計画になっている「重点受援県」は、静岡、愛知、三重、和歌山、徳島、香川、愛媛、高知、大分、宮崎です。
警察・消防・自衛隊・国土交通省の災害派遣隊(広域応援部隊)やDMATは、この10県に重点化して派遣される予定です。

倒壊建物が増加するおそれ

1回目の地震で倒壊しなかったビルや家屋が、2回目の地震で倒壊する可能性が高まります。
というのも、現在の建築基準法では強い揺れが間を置かず2度起こることは想定しておらず、それに耐えうる基準になっていないからです。

また、2度の地震で倒壊しなくても、想像以上に内部の支柱にダメージを受けている可能性もあります。
地震後は多くの建物が、立ち入りが危険な状態になるおそれがあることは頭の片隅に入れておきましょう。

まとめ

今回は、南海トラフ巨大地震の想定被害について解説しました。
全割れの時と半割れの時では規模にも違いがありますが、どちらも今までにない甚大な被害が出るというのは変わりません。
どれだけ対策をしても被害をゼロすることはできませんが、被害を抑える「減災」は可能です。
まずは、地震対策として避難経路周辺の障害物の排除など、すぐにできることから。
それから、避難用の物資の確保、火災への対策として防火製品の導入や初期消火訓練、津波対策として避難訓練等をしていきましょう。

CONTACT

お問い合わせ

フォームでのお問い合わせはこちら

03-3988-4811

お電話受付時間:(平日)9:00 - 17:00