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避難所生活で困ることはトイレ?避難所の限界について解説

この記事の目次
はじめに
2025年1月15日に、今後30年以内の南海トラフ地震発生確率が80%程度まで引き上げられたことで、さらに災害への備え・心構えが必要になってきました。
今回は、災害時、避難所での生活で困ることや避難所の限界について解説します。
避難所生活での問題
避難所生活での問題は、大きく分けて3つあります。
3つの問題について詳しく解説していきます。
【環境面】温度・音・におい
まずは、環境面での問題です。
日本の避難所は、学校や公民館などの広いスペースに毛布などでの雑魚寝が多く、まだまだ充実しているとは言えません。
そのため、室内温度の調整が難しく、また、音やにおいも広がりやすいという問題があります。
温度の感じ方は個人差が大きく、全員が快適と言える温度に調整するのは不可能です。
また、小さな音でも気になって寝られない人、不快なにおいがして気分が悪くなる人もいるでしょう。
こういった環境面での問題は、日本の避難所に多い、広い場所を「避難所」として運営する場合に起こりやすい問題です。
【衛生面】トイレ・感染症
次に、衛生面での問題です。
避難所は集団生活ですし、使用できるトイレはそう多くはないでしょう。
国のプッシュ型支援で仮設トイレが配備されますが、現場では、段差が高かったり和式だったりして、足が不自由な人や和式を知らない子どもの使用が難しいという声もあります。
仮設トイレもない場合は、汚物で汚れたままにおいもするトイレで用を足さなければならなかったり、1回分の携帯トイレを複数回使用したりといった状態になることもあります。
トイレに行く回数を減らすために水分を取らず脱水状態になるなど健康面での問題も起こっているのです。
また、トイレの不衛生さとともに感染症のリスクも大きくなります。
夏であれば感染性胃腸炎、手足口病など、冬であればインフルエンザやノロウイルスなどが流行しやすいです。
手洗いうがい、マスクなどの感染症対策も満足にできない避難所では、こうした感染症が広がりやすく、また、体力や免疫力のない高齢者や乳幼児は重症化しやすいというリスクもあります。
【安全面】プライバシー・貴重品の管理
最後は、安全面での問題です。
前述したとおり、日本の避難所では広い空間で雑魚寝が多く、それはプライバシーが確保できないという意味でもあります。
そんな中で、着替えや授乳、睡眠時など、非常にプライベートな時間を過ごすのは難しいでしょう。
仕切りがあっても、立ってしまえば見える程度の高さしかないことがほとんどです。
また、トイレ等でスペースを離れた際に貴重品がなくなるということも少なくありません。
個室や室内テント、貴重品を管理できる鍵付きのロッカーのようなものなどの配備も望まれています。
今後の避難所に必要な対策
今後の避難所に必要な対策について紹介します。
企業が避難所運営のサポート等をする際の補助金等についても解説していますのでぜひ確認してみてください。
環境面・衛生面・安全面の対策
まずは、環境面・衛生面・安全面への対策です。
避難所でのこうした問題は、阪神淡路大震災の際にもすでに上がっていた問題でした。
それでも現在に至るまで、避難所の個室化や災害時のトイレの設置、プライバシーの確保は十分とは言い難いのが現状です。
特にトイレに関しては、食料より早く必要になることが多いため、自治体や企業は携帯トイレを十二分に備蓄しておく必要があるでしょう。
要配慮者への支援
医療ケアが必要な人、障害がある人、妊婦、乳幼児、外国人など、配慮が必要とされる人(要配慮者)に対する支援も対策が必要です。
施設的・言語的・物資的な問題があり、すぐに対応することは難しいでしょう。
それゆえに、日頃から避難訓練で地域の要配慮者に対する対応を考えておく、地域の要配慮者に気を配っておく、英語等で記載した案内書を用意するなど、小さなことから対策しておくことが重要です。
周囲の理解・手助けが必須になってくることですので、少しずつ意識していきましょう。
コミュニティ単位での受け入れ支援
阪神淡路大震災の時に、仮設住宅への入居は抽選で、高齢者世帯を優先していました。
その結果、コミュニティの分断を招き、高齢者の孤独感、孤立を招く結果となりました。
南海トラフ地震でも同じような事態が懸念されるため、こういった面に対してどう対策していくのか、多様な支援策を用意し実効性を高めておく必要があります。
BCP策定で使える補助金も
国・自治体などによって、中小企業のBCP実効性確保のための補助金の助成事業があります。
自家発電装置の設置やBPC策定に関わるもの、システムの導入などが対象となります。
使用用途を特定した補助金もあるため、こまめにチェックしておくといいでしょう。
申請期間があるため、期間外となることもありますが、再度助成金申請ができるようになることがあるため、助成金を検討している場合は申請に関する準備をしておくとスムーズです。
まとめ
今回は、避難所生活で困ることと今後必要になる対策について解説しました。
極限状態にある中、避難所での集団生活をするのは非常にストレスです。
「最低限生活できる」だけでなく、人としての尊厳を守るために対策していくことも非常に重要です。
自治体や企業で連携することで実現できることもあると思いますので、ぜひ一度検討してみてください。
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