消防・防災情報
ARTICLE

阪神大震災から30年で変わったこと

はじめに
2025年1月17日、阪神淡路大震災から30年が経ちました。
この30年で大きな被害が出た災害もありました。
そのたびに、人命を救うために、被害を軽減するために、さまざまな対策を講じてきました。
今回は、阪神淡路大震災から30年で変わったことについて紹介していきます。
阪神淡路大震災から30年
阪神淡路大震災から30年にあたり、これまでの「忘れない」「伝える」「活かす」「備える」に「繋ぐ」を加えた基本コンセプトが設定されました。
パネル展やシンポジウム、災害対応訓練などを通し、未来に「阪神淡路大震災」を繋いでいくための活動をしています。
また、若い世代にも阪神淡路大震災を知り、繋いでいってもらうため、「リメンバー117プロジェクト」が実施されています。
参加資格は18~25歳の個人で、兵庫県内に在住または通学・通勤している方が限定ですが、震災がどんなものであったか、キャッシュレス生活でも大丈夫かなど、素朴な疑問から真に迫る内容まで、気になったテーマについて取材をして各々の言葉で語っています。
被災した方から見た震災と、何も知らなかった若い世代が感じ、考える震災との違いを知る良い機会でもあるでしょう。
阪神淡路大震災以降で変わったこと
阪神淡路大震災以降、さまざまな対策・体制の見直しが行われてきました。
ここでは、阪神淡路大震災以降で変わったことについて解説していきます。
大きな変化は地震計測の体制
変わった点 | 内容 |
震度が8段階から10段階へ | 震度0~7の8段階から震度5と震度6に弱・強を追加した10段階へ |
体感震度から計測震度へ | 体感や被害状況による震度判定から自動計測機器による測定へ |
観測点数が10倍以上に | およそ300ヶ所から4300ヶ所以上に |
「震度5弱以上未入電」情報の導入 | 「神戸震度6」情報が通知されなかったことを踏まえ、震度データが入ってこない場合に、地震の規模を過小評価せず重大なことと認識するよう呼びかける |
推計震度分布図の運用開始 | 2004年から提供スタート 震度を観測点と、震度を色分けして地図上に示す面的表示で発表 |
混合水栓レバーが「下げ止め式」に | レバーを下げたら水が出る蛇口から、レバーを挙げたら水が出る蛇口が主流に |
カセットコンロとガスボンベが統一規格へ | メーカーごとに決めていたガスボンベの規格がどのメーカーでも使用できるよう統一規格となった |
DMAT発足 | 「Disaster Medical Assistance Team」の略 「避けられた災害死」を減らすため厚生労働省が2005年に発足 |
自衛隊の救助要請の増加 | 自衛隊が街中で活動することに否定的な意見も多く、阪神淡路大震災の際は救助要請がなかなか出ず出動まで時間を要した |
SNSの普及 | SNSの普及により安否確認がしやすくなる それに伴い情報の取捨選択が重要に |
阪神淡路大震災以降、大きく変わったことは、地震観測・情報提供の体制です。
1884年の震度観測開始以来、体感で行っていた観測を1996年から全面的に震度計を用いた観測へ、震度を8段階から10段階へ変更、観測点数を10倍以上に増やしました。
また、推計震度分布図の提供も開始し、視覚的にもどこでどの程度の地震が起こったのかがわかりやすくなりました。
さらに、阪神淡路大震災の際に神戸の「震度6」情報が到達するまでに時間を要し、大した被害ではなかったと認識されていたことを踏まえ、被害情報が入ってきていない地域も被害が想定されるという旨を周知できるよう「震度5弱以上未入電」情報というものが導入されています。
その他、非常時への対応が多様化したこと、補償等の充実なども挙げられます。
国民が災害に対して危機感を抱くことで、備えができ、公的な支援が来るまでの助けにもなります。
また、地震保険等への加入が増えたことで、被災時の金銭的な保証も見込め、ある程度の安心材料になるでしょう。
SNSの情報は吟味して
阪神大震災のときは、携帯電話の普及率はそれほど高くはありませんでしたが、震災以降急激に上昇し、今では一人1台以上持っていることも珍しくありません。
そして、SNSが普及し、局地的な災害情報や逃げ遅れの情報が得られたという事例もあります。
その反面、偽情報が出回ることも多くなり、非常時の情報の取捨選択が重要になってきました。
不安をあおるような情報に揺らぐこともあるでしょうが、複数の情報からそれが正しいのかを判断していきましょう。
まとめ
今回は、阪神淡路大震災から30年、変わったことについて解説しました。
今は当たり前になっている震度や計測方法、情報提供なども、阪神淡路大震災があって見直され今に至っています。
これだけ対策していても十分とは言えないのが自然災害です。
防災について意識するだけでも違ってきますので、油断することなく、自分にできることから備えていきましょう。
CONTACT
お問い合わせ
フォームでのお問い合わせはこちら
お電話受付時間:(平日)9:00 - 17:00