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正常性バイアスと関連するその他のバイアスを徹底解説

正常性バイアスと関連するその他のバイアスを徹底解説

はじめに

正常性バイアスは、災害時に逃げ遅れなどに繋がる可能性がある心理メカニズムとして知られていますが、それ以外にも関連する心理メカニズム(バイアス)があります。
今回は、正常性バイアスと関連するその他のバイアスについて詳しく解説していきます。

正常性バイアスを知るとリスクを回避しやすくなる

災害時に正常性バイアスが逃げ遅れに繋がるというと、悪影響があるメカニズムだと感じるかもしれません。
しかし、正常性バイアスを正しく理解していれば、災害時でも正常性バイアスに影響されすぎることなく、リスクを回避しやすくなります。

正常性バイアスは、訓練や反復練習、自己反省の機会を多く設けることである程度コントロールすることが可能です。
避難訓練や情報に対して多角的な視点を持つ、問題解決に複数の可能性を考慮するなどを意識しましょう。

災害時に働く可能性のある4つのバイアス

正常性バイアスの他、災害時に働く可能性のあるバイアスを4つ紹介します。

こういったバイアスもあると意識することで「自分の判断は本当に正しいか」と冷静な視点を持つきっかけになります。ぜひ参考にしてみてください。

同調性バイアス

正常性バイアスは、同調性バイアスと同化性バイアスに細分化できるとされています。

同調性バイアスとは、周りの行動に自分も合わせて行動するという心理メカニズムです。
「誰も避難しないから大丈夫だろう」といった考えになるのは、この同調性バイアスが働いているといえます。

同化性バイアス

正常性バイアスの一つである同化性バイアスは、周りの状況に危険や異常が紛れてしまい、気付かなくなる心理メカニズムです。
川の水位がじわじわ上がっているなど、ゆっくり変化するような場合に働きます。
警報や避難指示が出ていても、自分で見る限り大丈夫そうと判断して避難せずにいると、いつの間にか避難できない状況に陥っていることもあります。

確証バイアス

確証バイアスとは、自分の都合のいい情報を集めたり、自分の考えを裏付ける情報を選ぶ心理メカニズムです。
大雨で避難指示が出ているが、自分のいる地域にはまだ危険は迫っていない、雨雲もまだ来ていないから危険はないと判断するなどがこれにあたります。

アンカリング

アンカリングとは、最初に受け取った情報に影響されてしまう心理メカニズムです。
日常生活なら、噂を信じて正しい評価を下せないなどがこれにあたります。
災害時だと、SNSで「○○が危ないみたい」「○○で堤防が決壊したみたい」などの情報を信じ、自治体が出す情報を疑って速やかな避難が行えなくなるなどがあるでしょう。

災害時にはいろんなバイアスに引っ張られないように意識する

正常性バイアスとそれに関連する4つのバイアスを紹介しましたが、こういった心理メカニズムに影響されすぎないことは、早期避難や被害を抑えるためには重要になってきます。
これらのバイアスに引っ張られないためにできるポイントを3つ紹介します。

本当にそうなのか疑いを持ってみる

まず、自分が得た情報や自分の判断が本当に正しいのか疑いを持ってみることから始めてみましょう。
災害情報を確認した後、他の媒体をチェックしてみたり、ラジオを付けてみたり、複数の情報から判断する癖をつけること。

「危ないかも?」という心の声に耳を傾ける

災害時の行動基準はオーバートリアージ(適切な基準よりも高い判断をする)が基本です。
「危ないかも?」「避難した方がよさそう?」と迷うようなら、間違いなく避難を選ぶべきです。
自分が危ないと感じて避難した後、何事もなければ笑い話で済みます。
周りの状況に流されず、自分が危ないと思ったら避難しましょう。

災害時は自らが「率先避難者」になる

災害時に避難行動に影響を与えるのは、最初に避難を始める「率先避難者」です。

日本人らしいともいえますが、周りがしていないことをするのは気恥ずかしさや躊躇いが生じがちですよね。
ただ、一人が行動し出すと周りもだんだん追従するのも、日本人らしい気質といえます。
災害時には、自分が最初に避難する「率先避難者」になれるよう意識しておきましょう。

まとめ

今回は、正常性バイアスや関連するその他のバイアスについて詳しく解説しました。
災害時には、さまざまなバイアスによって、正常な判断を下すのが難しい状況に陥る可能性もあります。
まずは、日常生活の中で、災害に対する対応の練習を繰り返していきましょう。
そして、災害時には、率先避難者として自分が避難する意思を示し、それに追従する形で回りを巻き込んでいけるのが理想ですね。
ぜひ、災害対応訓練の実施や、実施後の検討会などを通して他にどんな対策ができるかを考えてみてください。

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