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PFAS(PFOS・PFOAなど)の規制について

この記事の目次
はじめに
2010年4月に「ペルフルオロオクタンスルホン酸又はその塩(以下PFOS)」、2019年4月に「ペルフルオロオクタン酸又はその塩(以下PFOA)」が、土壌や水の汚染及び人体への健康被害を及ぼす可能性規制され、2021年10月22日より化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律にて第一種特定化学物質に指定されました。
それにより、PFOSやPFOAを含有した泡消火薬剤、消火器、消火用消火薬剤は適切な取り扱いが求められることになりました。
今回は、PFOSやPFOAといったPFAS規制について解説します。
PFOS・PFOAとは
PFOSは、撥水性、撥油性があり、主に消火剤、撥水剤、メッキ用表面処理剤などに使用されていました。自然環境での分解が難しく、人体の健康被害の可能性が指摘されています。そのため、2010年に製造・輸入が原則禁止されました。
PFOAは、フッ素樹脂の調理器具などに使用されていましたが、PFOSとともに人体への健康被害の可能性が示唆され、2021年に製造・輸入が原則禁止されました。
これらを含めて有機フッ素化合物(PFAS)と呼ばれています。
PFAS(PFOS・PFOA)を含む消火器等に該当するもの
ここでは、PFAS(PFOS・PFOA)を含む消火器等に該当するものについて解説します。
自社に貯蔵している消火器が該当するかどうか、チェックしてみてください。
2011年~2020年に製造された中性強化液・機械泡消火器が対象
製造日 | 消火器等の種類 | 規制対象の有無 |
---|---|---|
2011年製~2020年製 | 中性強化液 機械泡消火器 |
規制対象 |
2021年10/21までに製造 | すべて | 規制対象外 ※意図的にPFOAを使用していないため |
2021年10/22以降に製造 | すべて | 規制対象外 ※BAT報告の提出・受理必須 |
PFOS等含有泡消火薬剤は、2010年4月までに製造が終了しているため、現在はPFOS等含有の消火器等はありません。
また、2021年以降のPFOS等含有に関しては、BAT報告(※1)を提出、受理されれば規制対象外となります。
これらの消火薬剤は、原液の状態で保存され、使用時に規定の濃度に希釈するもので、現在も過去に製造・設置されたものが残存していることがわかっています。
対象となる消火器等は以下のようなものがあります。
・強化液(中性)消火器
・機械泡(水成膜)消火器
・パッケージ型消火設備Ⅱ型
・移動式粉末・泡消火設備
・てんぷら油消火用簡易装置
・フード・ダクト用消火設備
・レンジ用消火設備
・フライヤー用消火設備
・ダクト用消火設備
※1「第一種特定化学物質を「工業技術的・経済的に可能なレベル」まで低減すべきとの考え方に立ち、副生される第一種特定化学物質の低減方策と自主的に管理する上限値を設定し、厚生労働省、経済産業省、環境省に対して事前確認を受けた上で報告した場合、副生される第一種特定化学物質が上限値以下で管理されている限り、化審法の第一種特定化学物質として取り扱わないこと(引用:経済産業省)」
PFAS(PFOS・PFOA)を含む消火器の取扱いや届出は?
PFAS(PFOS・PFOA)を含む消火器の取扱いや届出等について解説します。
保存しているPFOA含有消火器を使用する場合は届出が必要です。
また、使用後の処理方法も確認しておきましょう。
PFAS(PFOS・PFOA)を含む消火器は交換が推奨されている
規制前の泡消火薬剤は、PFASが使用されている可能性があり、一定年数を経過した泡消火薬剤はPFAS非含有の泡消火剤への交換が推奨されています。
国内の泡消火薬剤及び消火器用消火薬剤は、2010年3月までに製造された機械泡消火器と強化液(中性)消火器に充てんされている消火器用消火薬剤に、PFASを含有している場合があります。
それ以外の消火薬剤は PFASの含有は確認されていません。
2010年以前に設置した泡消火器等は、早めの交換を検討しましょう。
PFAS(PFOS・PFOA)を含む消火器を使用・破損した場合
PFASが使用されている消火器や消火薬剤は、破損等の事故により排水が河川に排水または地下に浸透するおそれがある場合、直ちに応急措置を講じた上で、措置内容を届け出る義務があります。
ただし、現在設置されているもので、PFAS当が含有されているものであっても火災発生時の使用は可能です。
業務用の泡消火薬剤は大規模施設(軍用基地、空港、石油コンビナートなど)では、高い消火能力と急な代替の困難さから、現在でも使用が認められています。
消火活動で使用した場合は、届出義務の対象外ではありますが、環境への影響等把握のため、届出はしておきましょう。
規制対象の消火器等は技術的留意事項に基づき処理する
規制対象になるPFAS(PFOS・PFOA)を含む消火器等は、「技術的留意事項」に基づき処理する必要があります。
処理に関しては、以下の注意事項があります。
・PFOS・PFAS含有廃棄物の取扱いに関して十分な知識及び技術を有する者であることを確認する。
・委託契約では、PFOS・PFAS含有廃棄物の種類に応じて、廃棄物処理法の規定を損腫して締結する。
・処理業者にはあらかじめ、PFOS・PFAS含有廃棄物であること、数量、種類と正常、荷姿、取扱いに関して注意すべき事項を通知する。
まとめ
今回は、PFAS等含有消火器の取扱いについて解説しました。
PFOS規制から15年、PFOA規制から4年が経過し、PFAS等含有消火薬剤を使用した消火設備の交換も進められています。
PFAS等が含有される消火薬剤等は大規模な消火設備が多いため、完全に交換されるまであと数年はかかるかと思いますが、自社で使用している場合は、適切に貯蔵・廃棄を進め、法令に適合した消火設備を設置しましょう。
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