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熱中症対策の新常識「プレクーリング」の3つの効果とは?

はじめに
暑さが厳しい昨今、熱中症アラートが発表されたり、暑さ指数(WBGT)によって外出を控えたりすることも増えていますよね。
そんな中、熱中症対策としてじわじわ浸透しているのが「プレクーリング」です。
今回は、プレクーリングとは何か、どんな効果があるのかを詳しく解説していきます。
屋外作業の際は、熱中症対策としてぜひ取り入れてみてください。
プレクーリングはなぜ熱中症対策に効果的?
人の体温調節は主に発汗により調整されており、汗をかき、汗が蒸発する際に熱を奪っていく(気化熱)ことで、体温を下げます。
しかし、気温が体温よりも高いと、体に熱が吸収されるため、体温が上がりやすなります。
これに加えて、湿度が高くなると、いくら汗をかいても汗が蒸発(気化)せず、体内の熱を上手く下げられなくなります。
この状態で運動・作業をすると、エネルギーを生み出すために体内で作られる熱はどんどん溜まっていく一方です。
気温・湿度が高いことで、体温は下げられないのに水分と塩分はどんどん失われていく・・・
結果的に、体内の熱は下げられず熱中症となるのです。
プレクーリングは、体内の温度、もっと詳しく言うと「深部体温」をあらかじめ下げておくことで、熱中症になるまでの時間を長くするというものです。
日本スポーツ協会が発行している「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」でも、プレクーリングによって熱が貯まるまでの「許容量」を増やすことで、熱中症のリスクを軽減しながら運動時間の延長が可能と示されています。
プレクーリングの効果
プレクーリングの効果は大きく分けて3つ挙げられます。
それぞれについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
熱の許容量の増加(持久力の向上)
筋肉はある程度温度が上がっている方が、パフォーマンスが向上します。
これは、活動前から体内に熱が溜まっている状態と同じです。
気温・湿度が高い環境(暑熱環境)で行うと、熱中症のリスクが増えてくる体温37℃以上になるまでの時間が短くなり、活動可能時間も短縮せざるを得なくなります。
そこで、プレクーリングで体温をあらかじめ下げておき、熱が貯まるまでの許容量を増加させることで、活動時間を伸ばすことが期待できるのです。
許容量を増やすことで、持久力の向上も期待でき、長時間活動する場合には積極的に取り入れていくことをおすすめします。
心拍数を抑える
体温が上がると、体は「放熱しないと!」となり、血液をよりたくさん循環させて熱を発散させようとします。
血液をたくさん循環させるということは、心臓にそれだけ負担がかかっているということでもあります。
プレクーリングは、深部体温の上昇を緩やかにし、心臓への負担を減らすことで心拍数を抑えることが可能です。
実際に、プレクーリングを行った方が、運動中の心拍数が低かったことが研究から明らかになっています。
発汗量の減少
プレクーリングによって深部体温を下げておくことで、発汗量を減らし、脱水状態に陥りにくくすることが可能です。
発汗自体は、体内の熱を下げるためのメカニズムであるため、運動・作業等である程度汗をかきますが、体内の熱が急上昇しなければ、汗をかく量も減ります。
発汗量が減ることで、脱水状態になるスピードや電解質の減少も抑えられるため、熱中症予防として有効であるといえます。
運動中や作業中に行う「パークーリング」も効果的!
運動前に行う冷却を「プレクーリング」といいますが、運動・作業間・休憩中に行う「パークーリング」も効果的です。
気温・湿度、屋外作業の場合は、現場の暑さ指数(WBGT)によってこまめに休憩を入れ、水分補給とクーリングを実施しましょう。
水分補給は、喉の渇きを感じていなくても必ず行うのが熱中症予防に有効です。
その時、水分の温度を15℃ぐらいのものやアイススラリー(柔らかいシャーベット状飲料)にする、手のひらや脚の裏を10~15℃程度の水で5~10分冷却するのもおすすめですよ。
水分や冷却水は冷たすぎるのも体の負担になりますので、冷たすぎるものは避けましょう。
適切な水分補給・クーリングを挟むことで、帰宅後などの夜間に時間さで熱中症になるリスクも抑えられます。
毎日の健康のためにも、プレクーリングとともにパーク―リンクも取り入れてみてくださいね。
まとめ
今回は、プレクーリングの効果について解説しました。
暑熱環境での屋外作業は、自分が思っているより早く熱中症の初期症状が見られます。
初期症状が出るまでの時間を伸ばすことで、安全に屋外作業に従事できるでしょう。
また、休憩時間に適切な休憩・クーリングを挟むことで、帰宅後に時間差で発症する熱中症も予防できます。
屋外での運動・作業をする場合は、ぜひプレクーリングを取り入れてみてください。
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