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注目を集める熱中症対策「プレクーリング」の方法を解説!

はじめに
今、熱中症対策として注目を集めている「プレクーリング」をご存じですか?
作業前に体を冷やすことで、熱中症になりにくくなるというものです。
今回は、この「プレクーリング」の方法について解説していきます。
興味がある方、夏の屋外作業が多い方は、ぜひ参考にしてみてください。
プレクーリング:「外部冷却法」と「内部冷却法」
プレクーリングは、運動・作業前に体を冷やすことをいいますが、プレクーリングには、「外部冷却法」と「内部冷却法」があります。
外部冷却法も内部冷却法も、効果的に冷却するためにはいくつかポイントがあります。
身体外部冷却法
身体外部冷却法は、アイスパック、アイスタオル、氷のう、冷水などを使用し、皮膚表面を冷やすことで体温を下げる方法です。
ここでは、身体外部冷却法について詳しく解説していきます。
手掌前腕冷却・足裏冷却
外部冷却法には、手のひらや、手のひらから前腕までを冷やす「手掌前腕冷却」や、足の裏を冷やす「足裏冷却」があります。
特に、手のひらや足の裏・指には、AVA血管(動静脈吻合)と呼ばれる特殊な血管が集まっているため。効果的に体温を下げることが可能です。
◎やり方
10~15℃程度の冷水で、前腕部や足の裏を冷やす。
▶ポイント
・冷たすぎる水温は、血管が収縮し冷却効果が落ちてしまうため注意する。
・10℃以下の冷水、氷のうなどは、冷たさに加えて痛みを感じやすく、凍傷リスクもあるため、冷たすぎるものは避ける。
・冷却時間は10分程度がおすすめ。必要なら、適宜、氷等を入れて温度を下げる。
アイスパックや氷のうも有効ですが、体幹や太い血管のある部位を冷やすと冷たさを強く感じることも多いと思います。
その場合、タオルを巻く等の処置をした上で、
・額
・頬
・首
・肩
・手のひら
・足裏
などの、抹消部位を中心に冷やすのがおすすめです。
アイスベスト
アイスベストは、保冷剤などを入れたベストのことで、着脱が容易かつ広範囲の皮膚温度を下げることが可能な熱中症対策グッズです。
暑さによるストレス軽減では、上半身の冷却が有効との研究結果もあり、屋外作業が多く、より素早い冷却を行いたい方にはおすすめの方法です。
身体内部冷却法
身体内部冷却法は、冷たい飲料水などを飲むことで体の中から温度を下げる方法です。
ここでは、アイススラリーや飲料水の温度管理などについて詳しく解説していきます。
アイススラリー
アイススラリーとは、細かい氷とスポーツ飲料が混ざった、水分量が多いシャーベット状の飲み物のことです。
通常の飲料水に比べて溶解熱による冷却効果が高く、深部体温が効率的に下げられる上、体への負担が少ないため、年齢に関係なく利用しやすい熱中症対策として注目されています。
スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの冷凍コーナーでも売っていますので、一度チェックしてみてくださいね。
自作することもできるため、運動・作業に向かう前に、お好みのスポーツ飲料等で作っておくのもおすすめですよ。
◎作り方
①氷:スポーツ飲料=3:2程度の割合でミキサーにかける。
②魔法瓶など保冷効果があるものに注いで保存する。
ミキサーがない場合、ジッパーバッグなどにスポーツドリンクを入れ、細かい氷の粒子ができるまで冷凍してから砕いても作れます。
ちなみに、「アイススラリー」とは、フローズンやスムージーの総称でもあります。
しかし、フローズンやスムージーのように氷を砕いて飲める状態になっているのではなく、液体の中に細かい氷が分散して含まれているため、流動性が高く、より飲料水に近い状態になっています。
飲料水
オーソドックスかつ状況に応じて柔軟に対応できるのが飲料水です。
飲料水の温度は、体への吸収率、負担を考慮して、10℃前後、冷たくても5℃程度までの温度がおすすめです。
自動販売機のコールド用飲み物が5℃前後で販売されていますので、目安にしてみてください。
運動・作業時にはたくさん汗をかくことが予想できるため、スポーツ飲料や経口補水液など、ナトリウム(塩分)、ミネラルなどを含む飲料水が最適です。
また、一口にスポーツ飲料といっても、カリウム・ナトリウム・カルシウムなどを含む、体液に近い成分で構成されているものと、クエン酸など疲労回復に効果が期待できる成分が入っているものがあります。
場面に応じて最適な飲料水を選択しましょう。
まとめ
今回は、プレクーリング方法について詳しく解説しました。
休憩時間の水分補給や体の冷却も重要ですが、作業前の冷却が熱中症のリスクを下げ、活動時間を伸ばすことにも繋がります。
帰宅後に熱中症の症状が時間差で出てくることもありますので、休憩時間の冷却はもちろん、プレクーリングも導入し、しっかりと対策をしていきましょう。
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