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【暖房器具・寝具の火災リスク】住宅火災で死者数増加の原因と冬に備える注意点5選
はじめに
冬季は、空気の乾燥や暖房器具の使用などがあるため、1年で最も火災リスクが高まる季節です。
特に近年、住宅火災による死者数が増加傾向にあることが注目されています。
大きな火災を起こさないために、家庭や事業所がすぐにできる火災対策とは何でしょう?
本記事では、最新統計に基づく背景の分析とともに、冬場に注意すべき火災リスクと対策を紹介します。
最新統計と増加要因
令和6年版消防白書から、最新統計と火災の増加要因について詳しく解説していきます。
防火対策の観点からも、原因を知っておくことは大切ですのでぜひ参考にしてください。
火災と死者数の最新データ
消防庁の「令和6年版 消防白書」による出火件数や火災による死者は以下のとおりです。
・総出火件数:38,672件(前年比+2,358件)
・火災による死者数:1,503人(前年比+51人、放火自殺除く)
・建物火災での死者数:1,023人(前年比+51人)
・住宅火災の割合:57.7%(建物火災のうち)
総出火件数は、10年前の80.4%、死者数は92.5%と少ないものの、住宅火災での死者数に至っては、10年前を上回っています。
また、ここ5年以内では出火件数・死者数ともに増加傾向にあり、住宅火災で亡くなった人のうち、65歳以上の高齢者が74.5%占めているという統計もあります。
死者数増加の背景にある要因とは?
住宅火災による死者数が増加傾向にある背景には、以下のような複合的な要因が考えられます。
高齢化と単身世帯の増加
高齢者は、火災に気づくのに遅れたり避難に時間がかかったりするため「逃げ遅れ」による死亡リスクが高くなります。
また、単身世帯が増加したことにより、さらに逃げ遅れ等が発生しやすい環境となっていると考えられています。
暖房器具の使用増加と誤使用
電気ストーブ、石油ヒーターなどの使用が冬に集中し、誤った使い方による火災が増加しています。
暖房器具の付近で洗濯物を干す、可燃物が近くにある、石油ヒーターの蓋がしっかり閉まっていない等の原因が考えられます。
電気火災・配線トラブルの複雑化
コードの劣化やタコ足配線、コンセント周りのほこりが原因で、電気系統から火災が発生するケースも目立ちます。
火災警報器の設置率・点検不足
住宅用火災警報器の設置率は、設置義務化もあり全国平均で84.5%と向上しています。
しかし、設置後に点検や交換がされていない家庭や事業所が多いのが実情です。
冬に特に注意すべき火災リスクと対策5選
住宅火災の発火元別死者数を見ると以下のようになっています。
1.タバコ
2.ストーブ(電気ストーブ47人、石油ストーブ41人、ガスストーブ4人、薪ストーブ3人)
3.電気器具(電灯電話等の配線46人、配線器具15人、デーブルタップ13人、電気機器5人)
2位には、暖房器具がランクインしていることからも、冬場の火災リスクの高さが伺えます。
ここからは、特に冬場に起こりやすい火災リスクとその対策を5つのポイントでご紹介します。
暖房器具の周囲に可燃物を置かない
暖房器具の出火でよくあるのは、洗濯物や可燃物に引火することによるものです。
乾燥目的で近づけるのもやめましょう。
ちょっとしたことでストーブやヒーターに接触する可能性もありますので、周りに布団・カーテン・衣類・紙類などを置かないように徹底することが大切です。
対策
ストーブの周囲1メートルは「何も置かないゾーン」に。
就寝・外出時は必ず「電源オフ」と「プラグ抜き」
電気ストーブやこたつをつけっぱなしで寝る・外出することは大変危険です。
また、スイッチを切るだけでは誤作動や接触不良による火災のリスクもありますので、プラグも抜いてしまう方が安心です。
対策
寝る前・出かける前に「暖房器具のスイッチを切る+プラグを抜く」ことを習慣に
古い灯油・不適切な燃料使用に注意
石油ストーブなどでは、古くなった灯油を再利用することで燃焼不良から発煙・爆発に繋がるリスクがあります。
また、給油中は必ず電源を切ること、火気がない場所で給油を行うことを徹底しましょう。
対策
ワンシーズンごとに新しい灯油を使う。古い燃料は適切に処分する。
配線・コードの劣化と「ほこり」の火災リスク
長年使っている暖房器具や延長コードは、断線・劣化・ほこりの蓄積により発火することがあります。
さらに、過負荷防止のためタコ足配線やコードがねじれるような使い方は避けること、家具の下敷きになるような場所に配線しないことを徹底しましょう。
対策
定期的にコードの点検。傷・折れ・汚れがあれば買い替え、ほこりが溜まらないようこまめに掃除する。
布団・寝具と熱源の距離を確保
就寝中に布団がヒーターや電気ストーブに近づき、気づかないうちに接触して発火する事故が後を絶ちません。
また、壁際に暖房器具を置くことでカーテンと接触し、発火する可能性もあります。
カーテンは防炎素材のものを、暖房器具はタイマー機能や自動温度調整機能が付いたものを選ぶのもおすすめです。
対策
寝具と暖房器具の間は十分な距離を取る。
火災を防ぐ補助施策も見直そう
火災を「発生させない」だけでなく、「被害を最小限に抑える」設備の導入・点検も忘れてはなりません。
・住宅用火災警報器の定期点検・交換(10年が目安)
・消火器の設置・期限チェック(スプレータイプも有効)
・感震ブレーカーの導入(地震時の電源遮断による電気火災防止)
・防炎カーテンや難燃性マットの活用
・避難経路の確保・非常口表示の点検(事業所では特に重要)
特に、使用期限切れや劣化によって正常に使用できないことが内容、定期的な点検は必須です。
事業所では、避難経路に荷物がないか、非常口表示が見えにくくなってないかもしっかり点検しましょう。
まとめ
今回は、暖房器具や寝具の火災リスクについて解説しました。
意外とやってしまいがちなことも多いですが、空気が乾燥し火災リスクが高まる冬場は特に注意が必要です。
「ついうっかり」が命取りになりかねません。
今日からでもできる対策を一つずつ取り入れ、家庭も職場も“火に強い”環境づくりを進めていきましょう。
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