消防・防災情報
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リアル訓練のススメ:自治体×企業で進化する防災訓練事例
はじめに
近年、地震・豪雨・土砂災害など自然災害のリスクが全国で高まる中、「形だけの防災訓練」では対応しきれないという課題が浮き彫りになっています。
いざ災害が起きたとき、誰がどのように動くのか?避難経路や連携体制は機能するのか?それを検証するには、より“リアル”で“実践的”な訓練が不可欠です。
今回は、自治体と企業が連携して実施した注目の訓練事例を紹介するとともに、実際に役立つ訓練を企画・実行するためのポイントについて解説します。
訓練計画を立てる際の参考にしてみてください。
実践的で注目される防災訓練3選
実践的で注目を集める防災訓練を3つ紹介します。
自治体と地域、民間企業などと連携したよりリアルな展開となっていますので、ぜひ一度見てみてください。
空きビルを活用した都市型訓練
| 訓練内容 | 成果 |
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・老朽化により空きビルとなった建物を利用し、地震による倒壊や閉じ込め、火災発生を想定 ・消防署、消防団、警察署、町会等が参加 |
・実働型訓練で参加者の理解が深まり、参加率は前年比150%増 ・空きビル活用でコストを抑えつつ高リアリティを実現 ・災害時の初動対応や情報共有の課題 |
テナント退去後のビルを活用した防災訓練の例です。
消防・警察を始め、自主防災組織や地域の事業所、町会も参加し、訓練を通して連携力を高めることを目的としています。
実際に火を用いた消火訓練の他、消防隊や警察隊による救助訓練等の見学もあり、よりリアルで実践的な防災訓練となりました。
商業施設での多言語対応を目的とした津波避難訓練
| 内容 | 成果 |
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・営業中のショッピングモールにて地震発生時の避難誘導訓練及び来客対応 ・地域住民、市役所、自治会、病院、地域事業所等が参加 |
・テナントスタッフ向けの事前研修を行い、混乱時の対応力強化に寄与 ・避難ルートやアナウンスの改善点が見えた |
営業中のショッピングモールを舞台に、地震発生時及びその後の避難誘導を訓練した例です。
営業中というリアルな状態での訓練を行うことで、人の流れや対応、混雑状況についてもより現実的な訓練とすることが可能です。
特に、来客がいる中で安全に避難誘導するためには、館内アナウンスやサイン表示、障害者対応、日本語がわからない方への対応など、人員配置の見直しや多言語対応のパネルの準備などが必要となるでしょう。
河川氾濫を想定した災害救助訓練
| 内容 | 成果 |
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・荒川氾濫・水害・家屋倒壊を想定 ・東京消防庁、警視庁、自治体、民間企業、地域住民が参加 ・要配慮者の避難誘導・水難救助・物資搬送・通信確保・ドローン捜索 |
・多くの機関との連携の実効性を確認 ・ドローン・救助艇・ヘリの連携を検証し、被災者の発見から搬送までの流れをリアルタイムで運用できた ・要配慮者支援体制について実運用を意識した支援行動が見られた ・官民一体となって防災意識向上に寄与した |
東京都の荒川が氾濫したことを想定した災害対応訓練の例です。
付近住民も参加する大規模なもので、要配慮者への対応や広報訓練、避難支援をよりリアルな形で展開できた事例でもあります。
ドローン捜索では、民間企業が被災者を捜索し、映像をリアルタイムで消防・警察と共有することで迅速な救助活動に繋げることができました。
リアル訓練を成功させるための企画ポイント5選
リアル訓練を計画し、それを成功させるためにはいくつかポイントがあります。
先述した大規模な訓練でなくても、よりリアルな訓練を行うことは可能です。
企画の際はぜひ参考にしてみてください。
目的の明確化
まずは、「誰のために」「何を検証したいのか」を明確にしましょう。
住民の避難行動、職員の連携、医療対応など、狙いを定めることで訓練の質が向上します。
それを基に訓練内容を検討し、付与される条件などを付け加えていきましょう。
民間資源の活用
企業や施設との連携により、リアリティとスケールを両立させることも可能です。
空きビル、商業施設、備蓄品、人材など、使える資源を最大限活かしましょう。
従業員数が少ない事業所であっても、いくつかの事業所とともに自治体と連携する、いつもと違う状況を付与し付加を掛けるなどの対応も可能です。
多機関・多職種の参加
消防、警察、医療機関、福祉団体、交通・通信インフラなど、多様な関係者を巻き込むことで、より現実に近い課題を発見できます。
まずは、事業所同士で連携できることがないか、避難訓練等を合同でできないかを検討してみましょう。
参加者目線のシナリオ設計
想定外の事態や制約(スマホ禁止、通行止めなど)をあえて入れることで、思考と行動力を養う訓練になります。
また、参加者の“当事者化”が進みます。
避難訓練は毎年行っているという事業所も多いと思いますが、いつもと違う条件の付与、訓練中に追加で状況の変更を伝えるなど、臨機応変に対応する力を養うことも重要です。
記録とフィードバックの徹底
訓練中の映像を記録、参加後アンケート、ヒヤリハット報告を活用して、振り返りを実施しましょう。
どういった点が難しかったか、どうすればよりよく活動できそうかをみんなで検討することで、実際に被災した際の行動力が違ってきます。
まとめ
今回は、リアルな訓練や企画のポイントについて解説しました。
今こそ、防災訓練は「やって終わり」ではなく「気づきと改善を生む機会」に変えていく必要があります。
自治体と事業所が連携すれば、より実践的で効果的な訓練が可能になりますし、地域住民も一緒に訓練できれば、自助共助の意識も高まります。
一事業所での訓練も重要ですが、多機関との連携も視野に入れた訓練も検討してみてください。
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