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2025年消防法改正のまとめ|企業が押さえるべきポイントと2026年以降の改正予定・今後の動向
この記事の目次
はじめに
2025年は、消防法および関連する省令・告示・通知が複数改正され、企業の防災・設備管理に少なからぬ影響を与えた年となりました。
特に、危険物規制や蓄電池設備、消防用設備の点検制度など、実務に直結する内容が多く含まれています。
本記事では、2025年に改正された消防法のポイントを整理するとともに、2026年以降に予定・予想される消防法関連の動きについて、わかりやすく解説します。
2025年の消防法改正とは?改正の背景と全体像をわかりやすく解説
改正の背景
- 新エネルギー設備の普及(リチウムイオン蓄電池、EV関連設備など)
- 火災リスクの多様化・高度化
- 現場実務と制度のズレの解消
2025年の消防法改正は、法律本体の大幅な改正というよりも、政令・省令・告示・運用通知の見直しが中心でした。
2025年の消防法改正まとめ
2025年にあった消防法や関連法案の改正をわかりやすくまとめました。
どんなことがあったか見直したい方や対応に関してチェックしておきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
リチウムイオン蓄電池の危険物規制と貯蔵・取扱基準の改正(2025年5月施行)
| 項目 | 内容 |
| 対象 | 屋内貯蔵所および一般取扱所の位置・構造・設備基準 |
| 改正点 |
⚫︎蓄電池の貯蔵に関する特例規定が新設 ⚫︎消火設備・積載方法等の見直し |
2025年5月14日付で「危険物の規制に関する政令・規則・技術基準細目告示」の一部が改正され、リチウムイオン蓄電池が危険物に該当する場合の特例適用基準が明確化されました。
これにより、従来はあいまいだった蓄電池の危険物扱い下での設備基準や緩和措置が法令上で整理され、実務上の基準適合性の判断がしやすくなりました。
具体的には軒高や階数、床面積の規制が合理化される一方、充電率管理等の危険物安全対策が要件として定められています。
消防用設備点検等の点検基準・点検表様式の見直し(2025年7月施行)
| 項目 | 内容 |
| 対象 | 蓄電池設備の基準及び消防用設備等の点検基準及び点検表様式 |
| 改正点 |
⚫︎鉛蓄電池を前提とした従来の点検運用を見直し、リチウムイオン蓄電池を含む蓄電池設備が、常用・非常用兼用の非常電源として使用される実態を踏まえ、点検方法・点検基準を整理・明確化 ⚫︎蓄電池設備(特にリチウムイオン蓄電池)を想定した点検項目を明確化 |
2025年7月に消防庁告示により「蓄電池設備の基準」および「消防用設備等の点検の基準及び点検票様式」が改正されました。
単に電圧確認だけではなく、非常時の電力供給性能や負荷に対する容量保持の確認、放電能力・劣化診断を含めた機能的な点検が重視される方向性が明確になりました。
さらに、直交変換装置を有する蓄電池設備に関する技術基準や、非常用負荷回路の切り離し機能など、従来の非常電源設備基準に準じた管理要素が明示化されています。
蓄電池設備の配置・保有空地等の運用見直し(検討会・通達)
| 項目 | 内容 |
| 対象 | JISやIEC等の安全規格に適合した屋外設置のリチウムイオン蓄電池設備 |
| 改正点 |
⚫︎鋼製コンテナ等でおおわれている場合、保安距離を不要とし、原則として保有空地を3m以上とする方向性が示された ⚫︎放熱・消火活動・点検作業が有効に行える機能的な空間であることを重視する運用が示された |
リチウムイオン蓄電池設備(屋外設置)の保有空地・距離規制の見直しも行われました。
これにより、リチウムイオン蓄電池設備(屋外設置)が、JISやIEC等の安全規格に適合し、鋼製コンテナ等で覆われている場合、学校・住宅等からの距離(保安距離)を不要とし、保有空地を3m以上とする方向性が示されています。
ただし、3m空地は単なる見た目の距離ではなく、放熱・消火活動・点検作業が有効に行える機能的な空間であるかを重視する運用が示されています。
消防庁通達による点検運用の強化・周知事項(2025年通達)
| 項目 | 内容 |
| 通達事項 |
⚫︎蓄電池設備関連の出火防止措置や延焼防止基準の例示が追加 ⚫︎危険物規制に関する規則の一部改正に伴う屋外貯蔵タンクにおける過電流探傷試験に関する運用について |
| 改正点 |
⚫︎屋内外蓄電池設備設置後の維持管理や点検の留意点を整理 ⚫︎点検運用基準を補完、具体的な点検方法・安全対策の方向性を示した |
2025年も消防庁から多くの通達が出されました。
大きな事項としては上記表にまとめた二つが挙げられます。
主に、実務的な点検・運用に関する助言としての位置づけであり、留意点を整理したものが中心です。
消火設備・危険物設備の技術基準見直し(危険物特例)
| 項目 | 内容 |
| 対象 | リチウムイオン蓄電池 |
| 改正点 |
⚫︎蓄電池貯蔵方法や設備規模に応じたスプリンクラー等の設置基準の整理 ⚫︎蓄電池設備収納棚や遮蔽版の基準 |
危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示でも、リチウムイオン蓄電池に対応した特例が追加されました。
危険物貯蔵所・取扱所に設置する消火設備の基準に関するもので、蓄電池貯蔵方法や設備規模に応じたスプリンクラー等の設置基準が整理されています。
また、蓄電池設備を収納する棚や遮蔽板の基準にも改正が入っており、従来の表記が蓄電池特性に合わせて補強されています。
これにより、蓄電池を取り扱う危険物施設については、設置・点検・維持管理の技術基準がより具体化し、企業防災担当者が基準適合性を判断しやすい環境が整いました。
2026年以降に予想される消防法改正の動き|今後の動向は?
2026年以降は、2025年改正で整理された枠組みをベースに、より細かな基準整備や運用見直しが進むと予想されます。
具体的には、
・蓄電池やEV関連設備の基準の細分化
・消防関係手続きの電子化・デジタル化
・防火管理や訓練内容の実効性確認の強化
などが想定されます。
また、建築基準法と消防法の連携が進み、改修や用途変更の際には、両法令を一体で確認する必要性が高まるでしょう。
まとめ
2025年の消防法改正は、リチウムイオン蓄電池を中心に、企業の防災実務に直結する重要な内容が多い年となりました。
今後も消防法関連の見直しは段階的に続くと考えられます。
特に、蓄電池設備については「設置すれば終わり」ではなく「非常時に確実に機能する」ことを前提とした管理が求められる時代に入ったといえます。
改正内容を正しく理解し、先を見据えて設備・体制を整えることが、企業防災の質を高める第一歩となるでしょう。
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