消防・防災情報
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消防設備士の仕事内容ってどんなもの?
消防設備業は消防設備士の独占業務です
消防設備は火災発生時に、当建物の利用者にいち早い退避を促したり避難の補助をしたり炎を消し止めたり火の回りを遅らせたりする、いわば人命と財産にとっての命綱です。
緊急時にこれらが誤作動したり機能不全に陥る事がないよう消防設備の設置や改修に関しては、消防法第17条の6及び消防法施行令第36条の2に基づき消防設備士の国家資格に合格し、免状を保持している者しか携わることができません。
消防設備には施工の位置や設置方法など、多種に渡って色々な決まりが定められており、この決まりの範疇外の施工方法では消防設備としての機能を果たせない、あるいは重大な事故に繋がります。
従ってもし火災による事故が発生した時、知識のない者が施工したり改修を行っていると、消防設備が十分な効果を発揮できない事があり、多大な損失につながる可能性があります。
これらの観点から見ても、消防法により消防設備業に係る者は、消防設備士の国家資格を取得できる知識を有し、かつ資格を保有している者でないと危険であるという事が伺えます。
消防設備士の独占業務内容
消防設備士の独占業務の中で一番代表的なものと言えば、消防設備工事の際に発生する「消防署への工事の申請、及び消防署との完成時の施工確認」でしょう。
消防設備の施工の流れとして、まず施工対象の建物に対してどういった消防設備が必要で、それをどのように施工するかを決め、施工を始める10日以上前に所轄の消防署に「こういった用途で使用するこういった造りの建物が建つので消防設備をこのように取り付けます。」と申請します。
この際に消防署に提出する書類を「着工届」と言いますが、着工届は消防設備士を保持している者の名前で申請します。
なお、申請者はその取り付ける消防設備に対する資格を持った消防設備士でないといけません。
そして施工が完了した後、消防署に「このような形で工事が完成しました。施工の確認を現地で行って下さい」と、届け出、消防署に検査を依頼します。
この施工完成と検査依頼を申請する書類を「設置届」と言い、施工した消防設備士の名前と免状番号を記入したものをその建物の管理権限者(つまりはオーナー)が提出します(しかし慣例として、消防設備士が書類を作成し、消防署に持ち込むパターンがほとんどです)。
そうして検査に合格して、消防署から「検査済証」が発行され、これがないとその建物は使用する事はできません。
つまり、消防設備士の資格を保持している者が不在の状態では工事を始めることは出来ないので、検査済証も発行されず、建物の使用もできません。
これは、機器の取替えや改修なども同様で、軽微な工事の場合を除き、上記と同様の申請が必要となります。
これを省略してしまうと消防署に改修したとみなされず、その建物の管理権限者が消防署から指導が入り、最悪行政処分を受ける事になります。
消防設備士免状は8種類あります
消防設備と言っても色々な特性を持つものがあり、それらは薬剤や警報の特性が違い、全てその特性に従って細かく消防法が制定されているので、各設備ごとに資格が必要です。
資格の種類、担当設備、可能範囲業務は以下の通りです。
甲種1類 | 水消火設備(スプリンクラー、屋内・外消火栓、水噴霧消火設備)の工事・整備・点検 |
甲種2類 | 泡消火設備の工事・整備・点検 |
甲種3類 | 全域・局所・移動式ガス消火設備(二酸化炭素、ハロゲン、粉末消火設備)の工事・整備・点検 |
甲種4類 | 自動火災報知設備、ガス漏れ警報設備の工事・整備・点検 |
甲種5類 | 避難器具の工事・整備・点検 |
※これらは乙種も存在し、こちらは整備、点検のみ
乙種6類 | 手さげ・据置・背負い・車載式消火器全般の設置・整備・点検 |
乙種7類 | 漏電火災警報器の設置・整備・点検 |
※これらは乙種のみ
甲種特類 | 上記以外の特殊消防設備の工事・整備・点検 |
※こちらは甲種のみ
消防設備点検資格者では不可能な点検業務があります
よく消防設備定期点検で、「消防設備点検資格者」という資格だけで定期点検を実施している書類を見かけますが、これは本当に大丈夫なのだろうか?と疑問に思います。
この資格は1種と2種、特種に分かれており、3種取得していれば全ての消防設備の点検は可能なのですが、整備や改修が出来ません。
例えば消火器の内部点検では、消火器を分解して内部部品の動作チェックを行わないといけないのですが、これは「整備」に該当し、点検資格者では行えない業務です。
また、自動火災報知設備の感知器の故障による感知器の交換も出来ません。これも「整備」に該当します。
この辺りの解釈は各消防署によって見解が違う事とは思いますが、こういった事は本来無免許整備と解釈されたり、最悪防火対象物の管理者が「消防法による資格者による点検業務を怠った」として指導を受けたり、そもそも消防点検結果の内容が無効になる可能性があるので、建物の責任者の方はその辺りもよく調べ、書類を確認した上で「これはどうか?」と疑問に感じたら、契約している点検業者に確認をとった方が良いと思います。
点検担当者が消防設備士の免状を保持した上で消防点検に臨んでいるのであればどの角度から見ても問題ないし、知識も豊富ですので、点検・整備・そして改修工事と全て任せても知識も消防法的にも問題がなく、安心です。
つまり、消防設備士というのは、それだけの範囲の業務が可能な資格です。
もしこれから消防設備業を目指すのであれば、是非とも消防設備士にチャレンジし、各ジャンルの専門知識をしっかり身に付けて臨んで下さる方が一人でも多く増えれば幸いです。
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