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「防災」と「減災」の違いは?防災対策しつつ減災に取り組む!

「防災」と「減災」の違いは?防災対策しつつ減災に取り組む!

はじめに

阪神淡路大震災や東日本大震災などの経験を経て、市民や企業主体の「防災」が重要視されるようになり、特に、「自助」「共助」といった、自身・地域・職場での助け合い、「協働」といった行政をはじめとする防災関連機関・団体との連携には力が入れられています。
また、「防災」とともに「減災」という概念も広がり、被害を軽減させ、復興までの時間を短くするための取り組みも重視されるようになっています。
そこで今回は、「防災」と「減災」の違いや対策などについてご紹介します。

「防災」と「減災」について

阪神淡路大震災以降、防災という概念は一般的になっていますが、東日本大震災以降は「減災」という概念も注目されるようになりました。
ここでは、防災と減災の違いについて解説します。

「防災」とは

防災というのは、災害被害を0にするための取り組みというのが一般的な解釈です。

ところが、災害対策基本法第2条2項では、「災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ及び災害の復旧を図ることをいう。」と定義されています。

この定義からわかるように、防災とは未然に防止することはもちろん、被害の拡大防止と災害の早期復旧まで含まれていることを考えると、「防災」には「減災」が含まれているともいえるでしょう。

「減災」とは

減災は、災害による被害を0にすることはできないという前提に立ち、被害を最低限にとどめ、短期化するために事前に備えることを言います。
政府としては、2004年の防災白書で減災推進の方針を初めて提言しています。

被害を最小限にするための事前準備が重視され、そのためのシステム整備や「自助」「共助」へ繋げる取り組みも実施されています。

災害に対する対策

「防災対策」と「減災対策」には、近いもの、似ているものもあるため、厳密に分けるのは難しい部分もありますし、また、厳密に分ける必要はないと思います。
防災や減災の取り組みは必ず自分と周囲の命、財産を守ることに繋がりますので、積極的に取り組んでいきましょう。

防災対策の具体例

防災対策の具体例としては、
・防波堤
・堤防
・家具・機械類の転倒防止措置
・免震構造の建築物
などが挙げられます。

避難ルート上にある家具・機械等には、上部で固定する等の転倒防止措置をしておくことで、家具・機械そのものの破損を防ぐとともに、避難する人の安全も確保する、防災・減災対策の代表格ともいえる対策ですね。

減災対策の具体例

減災対策の具体例としては、
・災害発生の予測、観測をする通信システムの整備
・緊急速報
・避難方法の周知徹底
・備蓄の準備
・防災イベント
・被災時の行動・体制のマニュアル化
・災害ボランティアのトレーニング
などが挙げられます。

事前に避難ルートを歩いて時間や道の状況を調査したり、被災時の事業継続計画(BCP)を策定することも減災対策の一つです。
企業防災としては、防災訓練の際に状況発生の詳細を知らせず行う「ブラインド訓練」を取り入れることも、防災力を上げる一つの手法です。
従業員による避難誘導や受傷者の搬送・誘導方法の見直しに有効かと思います。

また、被災地にボランティアとして参加する場合はどういったことに気を付けるべきかなどを事前に訓練する災害ボランティアのトレーニングを行っている自治体、団体もあります。

こうした取り組みも上手く活用し、いざという時に慌てないようにしたいですね。

防災・減災対策のポイント

防災・減災対策は、画一的に行えば効果が出るものと、そうでないものがあります。
地形や気象状況、対応できる範囲など、防災・減災対策を行う上でのポイントをご紹介します。

地域の特性に合わせた対策を取る

防災・減災対策は、それぞれの地域特性に合った対策を取ることが大切です。

例えば、降水量が多い地域や蛇行する河川の近くであれば、水害対策も重視しておく必要があるでしょう。また、単身の高齢者が多い地域などは、避難経路や避難場所の確認だけでなく、移動方法なども考える必要が出てくるでしょう。

それぞれの地域に合わせて必要な対策を取捨選択していくと、より洗練された対策ができるかと思います。

対応機関ごとに分けた対策のイメージを作っておく

防災・減災対策には、
・自分たちでできる対策
・企業としての対策
・行政を活用した対策
などがあります。

特に、行政のサポートは被災後の補助金や一時金に関することがありますので、申請方法や必要書類などを事前にチェックしておくのがおすすめです。

時系列ごとの対策を考えておく

防災・減災対策は、被災した後にも上手く活用できるものであるべきです。特に企業では、時系列ごとの対策を考えておくと早期復旧に繋がります。
・平常時
・被災直後
・復旧時
・被害規模
などに分けて必要な対策を考えておくのがおすすめです。

まとめ

今回は、防災と減災の違い、防災・減災対策について解説しましたが、いかがでしたか?
防災も減災も、私たちの命を守るという点では同じです。
できるかぎり被害を抑えられるように事前に備え、もし被害があっても対処方法を定めておくことで早期復興に繋げていくことができます。
一人ひとりが防災への意識を持ち、防災の輪が広がっていくことが、命を守ることの繋がっていくでしょう。

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