消防・防災情報
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都市部における津波のリスク「縮流」に注意!
はじめに
都市部には高層建物も多く、建物が密集している地域も多く存在します。
そこに津波が来ると「縮流」と呼ばれる現象が起こり、想定より高く勢いのある波が襲ってくる可能性があります。
今回は、都市部における津波のリスクについて解説していきます。
縮流とは
縮流(しゅくりゅう)とは、建物が密集する地域に津波が流れ込んだ際、狭い道路などで津波の高さと勢いが増す現象のことです。
津波が遠く見えると思っていたら、次の瞬間には一気に目の前に迫ってくるようなこともあります。
そのため、鉄筋コンクリート造など、津波で押し流されないような建物が密集している地域にいる場合は、津波を見てから逃げようと思っても逃げきれない恐れがあり非常に危険です。
都市部の津波のリスク
都市部における津波のリスクは縮流の他に、予測できない水の動きや火災等が考えられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
四方八方から襲う津波
都市部の津波のリスクとして挙げられるのは、縮流とともに、思わぬ方向から襲ってくる水です。
都市の道は、さまざまな方向に広がっています。
そのため、道に沿ってあらゆるところから津波が来るおそれがあるのです。
津波が来たと思って反対側に逃げたつもりが、前や横からも津波が襲ってきて挟まれる状態になるという状況も起こり得ます。
都市部の津波において大事なことは、とにかく早く避難することです。
「みんなが逃げないからまだ時間はあるだろう」と様子を見るのではなく、速やかに津波避難ビルや浸水区域外に逃げましょう。
大きな揺れを感じたときは、津波警報や防災気象情報が発表される前でも、浸水区域外や津波避難ビル、その他高い場所にまず逃げること。
いかに早く避難行動に移せるかが、都市部の津波から命を守るためには重要なポイントになります。
火災の同時発生と巻き込まれるおそれ
都市部には、鉄筋コンクリート造の燃えにくい建物が多く、一見すると火災が起こっていないようにも見えます。
そのため、帰宅しようとして火災に巻き込まれてしまうケースが考えられます。
土地勘がない場所であれば、その危険性はさらに高まるでしょう。
大地震の場合、火災が同時発生することもあり、消防力の不足や水道が使えないなど、消火活動や救助活動も満足にできないでしょう。
都市部で地震に見舞われた際、無理に帰宅しようとしないこと、勤め先が都市部にある場合は、初期消火を徹底することが重要です。
気象庁と自治体の津波到達時間の違い
防災気象情報で、津波到達時間が通知されますが、気象庁が発表する津波到達時間と、自治体が発表する津波到達時間は、起算点が違うことをご存じでしょうか?
ここでは、津波到達時間について詳しく解説します。
気象庁の津波到達時間は沿岸部で潮位の変化が始まる時間
気象庁の津波到達時間は、沿岸部で潮位の変化が始まる時を津波到達の予想時刻として発表します。
これは、海岸沿いで仕事に従事している方、海水浴客などに避難を促すためでもあります。
気象庁発表「○○市の津波到達予想時刻は2分」と表記されている場合、地震発生後、潮位の変化が現れるのが2分後という意味で、大津波が来る時間が2分後というわけではありません。
自治体の津波到達時間は沿岸部で津波の高さが1mに到達する時間
自治体の津波到達時間は、沿岸部で津波の高さが1mに到達する時を津波到達の予想時刻として発表します。
これは、津波の高さ1mが死亡率100%になるボーダーであること、市街地への浸水が広がり被害が拡大する可能性があることなど、主に被害の有無によって判断されています。
気象庁と違い、津波到達まである程度時間があるように感じますが、1mの津波が到達した時点ですでに潮位は上がっており、海抜の低い地域では浸水が起きていてもおかしくありません。
大きな揺れを感じたら、津波到達予想時刻に関わらず、速やかに避難すべきです。
まとめ
今回は、都市部における津波のリスクについて解説しました。
住宅地よりも堅牢な建物が多い分、縮流などの特殊な流れとなって被害をもたらすリスクもあります。
都市部では、観光客や他所から遊びに来ている人も多いため、土地勘がなく、適切な避難が難しい場合もあるでしょう。
津波到達予想時刻も、正確に把握していなければ、誤った情報となり得てしまいます。
本記事を参考に、付近の店舗などと協力し、観光客等をどう避難させるかも同時に検討しておけると、被害の軽減の一助となるでしょう。
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