消防・防災情報

ARTICLE

消防・防災情報

サーバールームに有効な消火器

サーバールームに有効な消火器

サーバールームに設置できる消火器の種類は限られている

サーバールームとは、組織内の情報システムの運用のために大量のサーバーコンピュータや関連機器を設置する専用の部屋です。
精密機械が密集しており、これは高温環境や埃カスに弱く、一定の温度で汚れの侵入しない特別な部屋を設け、そこで管理します。
このサーバーコンピューターが建物の脳のような役割を果たしているので、この機能が損壊すると、建物全体の通信やデーターなどに影響が出ます。

もしサーバールームで火災が発生した場合、通常の粉末消火器や強化液消火器のような粉体や液体の薬剤を使用すると、サーバーコンピューターに致命的な損壊を与え、その機能を損なう事になります。
従ってこれらの消火器は、サーバールームの消火器としては向いていません。

サーバールームはガス消火器がクリティカルユースです

これら精密機械に相性が良いのが、二酸化炭素消火器、ハロゲン消火器というガス消火器です。
二酸化炭素、ハロゲン共に気体なので、主に発火の原因の一つである酸素にアクションを起こし、酸素を遮断する事によって炎の拡大を防ぎ、鎮火に導きます。

気体を使用するので、物理的に干渉する事なく消火が出来るのでサーバールーム限らず精密機器を扱う現場には気体の消火器がクリティカルユースと言えます。
揮発性も大きいため、放射後に汚損も残しません。

※クリティカルユース

その環境で最も最適なパフォーマンスを発揮するもの

では、事項から、ハロゲン消火器、及び二酸化炭素消火器の特性やメリット、デメリットを解説していきます。

ハロゲン消火器

特性・・・ハロゲン消火器の成分のハロンは、炭化水素の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素のうち、臭素を含むものです。前述した通り揮発性が高く、酸素を遮断する能力に長け、それに加えてハロンの熱分解で生じたハロゲン原子が燃焼により発生する高活性の水素原子と水酸基を取り除く触媒作用を利用しての消火効果もあります。(X + H → HX•
HX + OH → X + H2O)

メリット・・・気体である上に揮発性にも優れているので精密機器の損壊がなく、炎のみに干渉し、消火できます。また、消火薬剤は人体に無害なので、誤放出による身の危険はありません。
消火過程においては有害ガスが発生しますので狭い密閉した室ではしないことと、発生ガスを吸入しない注意が必要です。

デメリット・・・オゾン層破壊に大きく関わっているとされ、消火剤として使用されるハロン1211・ハロン1301・ハロン2402は、モントリオール議定書でオゾン層破壊物質として特定ハロンに指定されており、1994年1月1日から議定書第5条非適用国で製造等が中止されています。
従って現在市場に出回っているハロン1211・ハロン1301・ハロン2402は、全てリサイクル品です。消防法では使用は認められていますが、製品の新規製作は廃止されている状態です。
しかし2001年、オゾン層を破壊しないとされるHFC-227ea・HFC-23の2種類が追加されました。

二酸化炭素消火器

特性・・・二酸化炭素を放出し、発火物の周りから酸素を追い出す事で火のエネルギーを遮断し、消火します。二酸化炭素で火を消すのではなく、不活性ガスにより燃焼の三要素である酸素供給体を絶つことで燃焼を抑えます。
その特性を利用し、二酸化炭素を充満させる事によって延焼拡大を防ぎます。
また、この消火器は高圧を充填しているため、高圧ガス保安法の適応も受けています。その為容器の色が50%以上緑色になっており、他の消火器と違いがあるので一目で分かります。

メリット・・・ハロゲンと同じく気体なので、精密機械に干渉する事なく気体環境のみにアクションして消火する事が可能です。
従って油火災(B火災)や電気火災(C火災)に非常に適した消火剤と言えます。

デメリット・・・二酸化炭素は可燃物を燃焼させない特性だけでなく、空気中の二酸化炭素濃度が上昇すると吸引により人体に悪影響を及ぼす気体なので、使い所を間違えると生命活動にも影響があり、最悪死に至ります。
従って地階・無窓階・居室などでは使用が禁止されております。
稀に事務所などに二酸化炭素消火器が無造作に設置されているケースがありますが、もし火災時に使用してしまうと普通一般火災に適合していませんので、二次被害が出てしまうため、サーバールームや危険物貯蔵庫に移動するか、もしくは早急に処分しないといけません。
二酸化炭素は、まさに「環境や状況を選ぶ消火器」です。

まとめ

ガス消火薬剤は密封された環境で最大限効力を発揮します。
また物理的な損壊もないので、サーバールームなどの密閉された、精密機械の設置している箇所に対してはまさにうってつけの消火器です。
しかし気体で見えないだけに二次災害や環境への副作用が解りにくく、とても慎重に扱わなければならない消火器と言えます。

2種類共使用できる環境は限られ、日常では見かける事があまりない消火器ですが、もしサーバールーム等で火災が起こり、使用しないといけない時の為に、ガス消火器の特性、デメリットもしっかり理解し、自身の安全をしっかり確保してから使用するようにしましょう。
特に二酸化炭素消火器はしっかり特性を理解して使用する事が大切かと思います。

CONTACT

お問い合わせ

フォームでのお問い合わせはこちら

03-3988-4811

お電話受付時間:(平日)9:00 - 17:00