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知っておきたい屋内消火栓の使い方と設置場所

知っておきたい屋内消火栓の使い方と設置場所

はじめに

屋内消火栓は、学校や商業施設など幼いころからよく目にする消火設備ですが、どんなところにあってどう使うのか、すぐに思い浮かぶ人はどれぐらいいるでしょうか。日ごろから位置を確認し、取扱いのシミュレーションをしていなければ、なかなかスムーズに使えないものです。
今回は、屋内消火栓の取扱いのための予習として、屋内消火栓の種類や使い方、設置されている場所などについて詳しく解説していきます。

屋内消火栓とは

屋内消火栓とは、初期消火を目的として一定の基準を満たした防火対象物に設置される消火設備です。
・貯水槽などの水源
・加圧送水装置(ポンプ)
・消火栓起動装置
・開閉弁、ホース、ノズル
・配管
・常用電源・非常電源
などから構成されています。

1号消火栓

130ℓ/分以上の放水が可能で、工場、倉庫、指定可燃物を貯蔵・取り扱う場所などに設置される屋内消火栓です。防護距離(水平距離)は25m、放水には2人以上必要で、取扱いには訓練が必要です。

易操作性1号消火栓

130ℓ/分以上の放水が可能ですが、一人で操作可能な屋内消火栓です。設置される対象物は、1号消火栓と同様です。防護距離は1号消火栓同様25mですが、ホースが固くて保形されており、ホースリールに収納されている形なので、すべてホースを出さなくても放水できます。

2号消火栓

60ℓ/分の放水が可能で、百貨店、ホテル、病院、学校などに設置される屋内消火栓です。1号消火栓設置基準のもの以外の対象物に設置されます。こちらの方がよく目にする消火栓でもあります。易操作1号消火栓同様一人で取扱いできますが、防護距離が15mと短いため設置台数は多くなる傾向があります。

広範囲型2号消火栓

80ℓ/分の放水が可能、防護距離は25mと、1号消火栓と2号消火栓の中間ぐらいの性能を持つ屋内消火栓です。2号消火栓より防護距離があるため、台数を減らせる利点がありこちらを導入する事業所も多いです。

屋内消火栓の使い方

1号消火栓の取扱いは以下のとおりです。放水には2人以上必要ですので、便宜上AさんとBさんが取り扱うこととして説明していきます。

1.Aさんが屋内消火栓格納箱を開き、ホースをすべて出す
2.Bさんはホースが折れ曲がらないよう展開する補助をし、展開が完了したら発信機(消火栓起動ボタン)を押す
3.Aさんはその間に火点に近づき、筒先(ノズル)を向ける
4.AさんとBさんの準備が整ったらAさんはBさんに消火栓開閉弁(バルブ)を開けるよう指示する
5.BさんはAさんの指示があった後、消火栓開閉弁をゆっくり開けていく
6.消火が完了したら、消火栓開閉弁をゆっくり閉めていく
7.加圧送水装置(ポンプ)を停止する

気を付けないければならないのは、消火栓の開閉弁をいきなり開けてしまわないことです。
いきなり全開にしてしまうと、水圧で筒先が跳ね上がり、Aさんが危ないですし、火点にも筒先を向けられなくなります。徐々にホースの中に水を充填させていくようにゆっくり開けていくことが重要です。

次に、易操作1号消火栓や2号消火栓など一人で操作する屋内消火栓の取扱いを説明します。
1.消火栓格納箱を開き、筒先(ノズル)を取り出す
2.発信機(消火栓起動ボタン)があれば押す
3.バルブを全開までゆっくり開けていく(バルブを開けることによりポンプが起動します)
4.ホースを火元まで引っ張っていき、火点に向ける
5.筒先の開閉弁をゆっくり開けて放水する
6.消火が完了したら、筒先の開閉弁を閉め、消火栓格納箱に戻りバルブも閉める
7.筒先を元の場所に戻し、駆動している加圧送水装置(ポンプ)を止める

全てホースを出す必要はなく、そのままひっぱっていけばホースは延長され、火点に近づけます。発信機を押さなくてもポンプは駆動するのですが、周囲への注意喚起などの含めて押した方がいいでしょう。
筒先にも開閉弁も、いきなり開けると反動がありますので、ゆっくり開けていくことが重要です。

屋内消火栓の設置されている場所

屋内消火栓は、階段付近や出入口付近で消火活動かしやすい位置に設置されます。また、ビルなどの階数が多い建物は、なるべく同じ位置になるように設置されています。
防護距離というのは水平での距離ですので、実際に歩くと少し遠く感じることもあります。防護できない場所がないように設置されますが、どこまでホースが伸びるのか、従業員は一度展開して確認しておくと安心です。

まとめ

今回は、屋内消火栓について解説しましたが、いかがでしたか?
屋内消火栓設備は、説明だけ聞けば取扱いも簡単なように思いますが、実際に火災の際に放水するとなるとなかなか円滑にできないものです。
取扱訓練などがなければ触れたりする機会が少ないため、各事業所で取扱いの説明や訓練等をする時間を取ることが大切になります。
初期消火などにも重要な消火設備になりますので、火災が多くなる時期の前にはぜひ取扱訓練を行ってください。

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